第一話「不思議な転校生」

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「どういう事だよ、これは。」 涼は学校が終わってから優奈を学校に残し、先程の出来事を問い詰めた。 「……バレちゃしょうがないか……わかった、言うよ」 優奈は観念したように俯き加減に大きくため息をつくと、顔を上げて涼を見た。 相変わらずルナフィスは 自分とは関係のない事といった感じで、優奈の陰に隠れて独り編み物をしている。 「私もね……あなたと同じように魔法が使えるのよ」 「は??」 涼は眉をしかめた。 「ちょっと待て、俺はいつお前に魔法を使えるなんていった??俺はそんなもん使えねぇよ」 鋭く睨むような目で優奈を見ていった。 その冷酷さを感じさせる瞳はどこまでも冷たい。 「もういいじゃない、そんなにしらばっくれなくても。別に恥ずかし事でもないんだし」 優奈はぷくっと頬を膨らませ、白状するように催促する。 だが、涼もなかなか折れようとしない。 「魔法なんて使えたらこんな不自由な生活してねえよ」 涼が呆れたような表情を浮かべる演技をすると、優奈はふーん……と不気味な笑みを浮かべる。 「まーだシラを切るつもりなんだぁ」 「な、何だよ」 「でておいで、ルナフィス」 優奈の声にルナフィスのがひょこっと陰から顔を出した。 「何ー??」 「あ、お前!!」 涼はルナフィスを見るなり血相を変え、指差して怒声をあげた。 「ひゃあっ!?そんなに大声出して怒鳴らないでよーー……」 ルナフィスは頭を優奈の背後にひっこめると、恐る恐る顔を出しながら少し怯えた声で言った。 「うるせぇ!!お前があの時邪魔してなけりゃ……ーーっ!?」 涼は突然言いかけていた口をばっと閉じた。 何かに気付いたようだ。 「してなけりゃ……何??」 優奈は底意地の悪い笑みを浮かべて涼に迫った。 涼はごまかす為に口を固く閉ざしたまま必死に首を横に振る。 そんな中、再びルナフィスが陽気な表情で顔を出した。 彼女にはきっと悪いと思う気持ちが備わっていないのだろう。
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