第一話「不思議な転校生」

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「え~っと、相馬さんだったっけ?? そんな風に隠しても無駄だよ~??」 「ど、どういう意味だよ」 「だって私の姿は魔法使える人にしか見えないんだもん」 辺りが凍りついたように時間が止まった。 ルナフィスの陽気な笑い声が静寂を掻き消すように響いている。 無神経にもほどがある。 優奈でさえ空気を察して少したじろいでいるというのに。 「あ、あれ?」 ルナフィスの表情が段々曇り始める。 どうやら気付いたようだ。 「もうちょっと溜めてから言うものよ、ルナフィス」 優奈は呆れた声でそう言うと、はぁ~っと右手をこめかみにあててため息をついた。 「テストの時といい今回といい、またお前か……もう我慢ならねぇぞ……」 涼の右手が紫色の怪しい光を帯び始める。 「え?? え??」 「ちょっと可愛いからって調子のってんじゃねえぞ!! 『ザライド』!!」 涼がそう言ってルナフィスに右手を向けると、紫色の光線が侵食するようにルナフィスに放たれた。 だが、ルナフィスも一筋縄ではいかない。 「わわっ!! 『リフレクト』!!」 ルナフィスの回りを黄色い薄い球状の膜が包み込む。 涼の魔法はそれによって全て、掻き消されてしまった。 「なっ……!?」 涼は唖然とした。 「ふぅ~危なかったぁ…『ザライド』って一撃必殺の呪文じゃない。ま、上級クラスの呪文じゃなかったのが幸いだったけど」 ルナフィスは膜を解くと袖で額に浮かんだ汗を拭った。 「言い忘れてたけどルナフィスも魔法が使えるのよ」 「さようでございますー」 ルナフィスは敬礼する真似をすると、プッと吹き出してハハハと笑った。 「ち、くだらねぇ……」 涼は椅子に腰を掛けると、腕枕をして寝ようとした。 「えー?もう終わりなんだぁー。意外と呆気ないね」 ルナフィスは涼の顔の前にすっと降り立った。 「うるせぇ。ガキは家で寝てやがれ」 「あっ!! そんなこというんだぁー!! 優奈に言ってお仕置きしてもらうよ??」 「いてっ」 ルナフィスは涼の腕をポンと蹴った。 涼は小さく舌打ちすると、ふと例のことを思いだし、顔を優奈に向ける。 「そう言えば虹河、お前、魔法が使えるって本当なのか??」
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