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涼は上体を起こして優奈に尋ねる。
「私?? 私は使えるよ。ただ、相馬君やルナフィスみたいにその場ですぐには使えないけどね」
「……??どういう事だよ」
涼は小首を傾げる。
「私の場合、これが必要なの」
優奈はごそごそとポケットから透明のケースに入れられたカードの束を取り出した。
ケースが少し傷ついている。
長年の相棒なのだろう。
「カード?? それって今日タロット占いで使ってたやつか??」
「そうだよ。私は精霊を操る魔法がつかえるんだ。召喚する時は精霊の名前を呼ぶから、それまでは普通のタロット占い用のカードなんだ」
「へぇーーなるほどな」
涼はケースを慎重に開けると、束の一番上のカードを取り上げてまじまじと観察した。
「本当にただのカードだな」
数字さえあればトランプとして使えるのではないだろうか。
「でしょ?? よくできてるよ、ホント」
優奈はカードのできに改めてコクコクと頷いて、感心の意を表した。
「ちなみにこのカードの名前は何て言うんだ??」
涼はカードの絵柄を優奈に見せた。
そこには白く輝く、長い髪をした女性と思われる精霊が祈っている姿が描かれている。
「それはね、クリスっていう……ーーあっ!?」
涼はニヤリとほくそ笑んだ。
カードの絵柄の部分が一瞬光ったかと思うと、絵柄の聖霊がカードの中から姿を現したのだ。
「お呼びですか、優奈さん」
「ごめんクリス!! 今の間違って召喚しちゃったんだ!!」
優奈は両手を合わせて、申し訳なさそうに頭を下げた。
「構いませんよ。頭をお上げになってください。間違いは誰にでもあるものですから」
クリスは優しくそういうと、カードの中に光となって戻っていった。
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