第一話「不思議な転校生」

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「ふぅ……まったく……何で召喚させたのよ」 優奈は頬を膨らます。 「んなもん知るか。お前が勝手に召喚したんだろ」 涼は相変わらずの態度で味気なく言った。 悪いと思う気持ちは果たしてあるのだろうか。 あれば始めから召喚させたりもしないだろう。 「あのねぇ……あなた……」 「あ、そういえばクリスマスもうすぐだな」 涼は間髪入れずに突拍子もない話題を持ち出した。 優奈も思わず目を丸くした。 「あんたほんとにおバカさんなわけ?? クリスマスは十二月二十五日、今日は六月二十三日でまだまだよ??」 優奈がそう言ったときだった。 気付いた方もいるだろう。 クリスが再び姿を現したのだ。 「お呼びですか??」 「え??私呼んでないわよ??あっ!?もしかして!!」 ハッと気付き涼に目をやる。 が、涼は呑気に欠伸をしながら、携帯をいじっている。 「……?? どうした?? 俺の顔になんかついてんのか??」 意地悪な笑みだ。 その冗談混じりな口調も彼が言うと心底嫌な気分になる。 「……はかったわね」 「何のことか全然わからねぇなぁ。」 誰がどう見ても明らかに故意的な行為だ。 はっきりいって完全になめている。 優奈はいたたまれなくなり、涼の携帯をばっと取り上げた。 「クリスマスでしょ、クリスマス!!」 「クリスマス?? この時期にもうそんなお祭り気分かよ」 涼はまたほくそ笑む。 「どうかなさいました?? 優奈さん」 いまいち状況が飲み込めていないクリスは怪訝そうな顔をして尋ねた。 「どうしたもこうしたもないわよ!! クリスもそんな簡単な事ででてきちゃだめ!! 分かった??」 優奈は腰に手をあてて、むっとした表情でクリスに喝をいれた。 「……。はい、分かりました」 クリスはどこか解せないままカードに戻っていった。 かなり可哀相である。
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