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「はいはい、二人だけでいいムードになってんじゃないの。こんな状況つくるために話し合ってるんじゃないでしょう??」
優奈はパンパンと手を叩くと、少しむっとしたような表情で言った。
「んもうーいつもの事ながら優奈は情趣が解せないんだからぁー」
ルナフィスは肩をすくめてふぅっと余裕めかした息をもらして見せた。
「な、何よ」
「だって花より団子だし、猫より犬だし」
「犬は別に関係ないでしょ」
「ま、そういうことがわからないから優奈は彼氏ができないんだよー」
ーーぶちっ……
「何ていったのかな、ルナフィス……??」
優奈の中で何かが吹っ切れた。
勘忍袋の緒というやつだ。
「カマル、でておいで」
腹黒い笑みは一瞬にしてその場にカマルを召喚させてしまった。
カマルはどこか嬉しそうな笑みを顔に似合わず浮かべており、口からは異様な煙りが漂っている。
そして目は……
ルナフィスただ一点だけを見つめている。
ルナフィスに戦慄がはしった。
「嘘おおおおおおおーー!!」
絶叫するルナフィスを見て優奈の表情はさらににやける。
ルナフィスはというと……
ムンクの叫びの様になっている。
「さぁカマル?? 思いっきり可愛がってあげて??」
優奈のやさしーい声がカマルの意識を本格的にかりたたせた。
「♂∞§†※※*¢ーー!!」
「嫌ぁぁぁぁぁぁ!!」
ルナフィスは血相を変えて教室中を必死で逃げ回り始めた。
それを見たカマルはどこか嬉しそうに奇声をあげながら追いかけている。
恋人の砂浜はこういうものじゃないはずなのだが ……。
カマルの意識は恐らくそれである。
「ほほほほ、私を侮辱した時はどんな目にあうかよーく覚えておくことね」
「……前言撤回……鬼だ……」
涼は思わず陰でぼそっと呟いた。
「何かいった??」
優奈は涼の呟きに敏感に反応し、睨むように涼をみた。
地獄耳とはよくいったものである。
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