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「あの妖精が制服姿だから、それが余計に精霊の思いを強めているって気がするな。というよりも、そもそも妖精に恋愛感情とかあるんだな」
「それはそうよ。精霊だって人並みに恋もするし、子孫を残すために必死なんだから」
「せ、精霊のくせに子孫とかあんのかよ」
涼は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。
驚くのも無理はない。
誰が精霊に子孫があるなどと考えるだろうか。
「あるわよ。二匹の精霊からは一匹しか生まれてこないけど、その分強くなって生まれてくるの」
「い、いや確かにそれはそうかもしれないが……あれは体格的に無理があるだろ」
涼の言う通り、確かにチワワとゴールデンレトリバーぐらいの差がある。
いくらなんでも常識では少し不可能に近い。
「そ、そうだよ優奈!! 体格の差的に無理だよ、無理!! ちゃんと考えてよね!!」
ルナフィスは逃げ回りながら不意に横から微妙に悪口を添えて口をはさんだ。
「カマル、スピードあげていいわよ」
「了解」
「了解じゃないわよーーーーーーー!!」
ルナフィスは半泣きになりながら逃げ続けている。
カマルの姿はもうそこまで迫ってきている。
「ルナフィスが頑張ってくれたら絶対に最上級クラスの精霊ができると思うんだけどなぁ。あの子は一生独身貫くみたいな事言ってるし」
優奈は、はぁーっと残念そうに大きくため息をついた。
「……もう一つ聞いてもいいか??」
「何??」
優奈は耳を傾ける。
「何であの妖精は制服を着ているんだ??」
涼は素朴な疑問をぶつけた。
確かに、妖精にしては格好が不自然である。
「ああ、あれね。あれは私の趣味よ。制服姿の方がかわいいでしょ?? それにあの大きなリボンも一つのチャームポイントなんだよ」
優奈はルナフィスの制服姿の謎について嬉しそうに語った。
女の子らしさが一瞬伺えた。
しかし、回りを見ればそんな思いが払拭される。
「はぁ……そんなに可愛がっているならもっとあいつの言うことも聞いてやれよ……。あいつにもあいつなりに独身貫こうとしている理由があるんだろうしな」
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