第一話「不思議な転校生」

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「ふーん…」 「な、何だよ。」 優奈の迫り来る姿に、涼は少したじろぐ。 「やけにルナフィスに絡むなぁって思って。一目惚れでもした?」 優奈は涼を冷やかすように半目で見据えながら言った。 「お前が適当に扱いすぎてっから代わりに言ってやってるんだよ。」 涼はぶっきらぼうな口調で言った。 ルナフィスは相変わらず机の隙間をかい潜るようにして逃げ回っている。 正直悲惨である。 「そう? 私は適当に扱ってるつもりはないけどね。あ、ねぇ、私も一つききたいことがあるんだけど」 優奈は突然身を乗り出して涼に迫った。 どうやら話題を変えるということが目的ではなく、どちらかというとこちらの方が本題といった感じだ。 「な、何だよ」 涼は思わず一歩分ほど退いて言った。 「どうやってその魔法を体得したのか教えてほしいの」 先程までとはうってかわって、にこっと微笑んで尋ねた。 「この魔法のことか? 長くなるぞ」 「別に全然構わないわよ」 「ち、ちょっと! 私を放って二人だけで話しないでよーー!」 ルナフィスは『つむじ風』という呪文を自らに唱え、逃げるスピードを早くしながら言った。 ほぼ半ベソ状態である。 「ああ、忘れてた。カマル、もうちょっと遊んでて」 優奈はルナフィス達に目もくれず、ルナフィスの言葉を平然と聞き流した。 「ごめんね、じゃあ話してよ」 涼は優奈の自己中ぶり思わず苦笑する。 そしてルナフィス達を背に、あの忌まわしい記憶について口を開いた。 「えーっとな……あれは……小学生の時の話だったな」
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