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ーー……ガタガタ
夜中に吹き荒ぶ風は一層強さを増し、強い力で涼の部屋の窓を叩いていく。
この日は台風が迫って来ているということもあって、この風が一時的なものではないということは確かである。
涼はベッドの上で掛け布団に身を包み、恐怖に身を震わせていた。
実はつい先程、涼は放送されていたホラー映画を見てしまったのだ。
内容は現実に起こり得る怪奇現象をそのまま描写したようなものだった。
大人にしてみれば映画とわかっている為、知れているが、小学生の涼にとってあの内容は少し過激だったかもしれない。
両親の見ないほうがいいという忠告を無視した結果だろう。
ーーどうしよう……怖いけど泣き付くのも恥ずかしいし……
涼の中には後悔だけが残った。
その時だった。
「ーーっ!?」
体の自由がきかない……
金縛りにあってしまったのだ。
いや、むしろ金縛りだけで終わればよかった。
突然何者かに掛け布団をはぎとられてしまったのだ。
動かない首で必死に目だけやってみるが、そこに誰の姿もない。
ーーポ、ポルターガイスト現象!?
涼は先程見ていた映画を思い出した。
確かあの映画にもポルターガイスト現象が幾度となく起こっていた。
もしかすると自分はあまりの恐怖に夢のなかでポルターガイスト現象を体験しているのではないか。
涼は夢であることを信じたかった。
そう思って固くつぶっていた目を開け、天井を見た時だった。
一本の七色に輝く光りの線が涼の目の前を通過したのだ。
何が起きたのかわからない。
焦りが幼い涼の心をどんどん締め付けていく。
ーー誰が助けて!!
涼が強く心で叫んだとき……
「大丈夫?」
突然耳元で聞いたことのない囁くような声。
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