序章

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やっぱり、これだけ嫌われるのには、それなりの理由があった。 それは僕は同級生を一人殺してしまったから。 だけどそれには僕自身が一番驚いていた。 なぜなら僕は凶器を持たずして彼を殺してしまったのだから。 小学生同士の喧嘩など所詮はその程度、人一人を殺すまでに至る事はない。 しかし、僕の場合彼に指一本も触れる事なく殺してしまったのだ。 その翌日からだったっけ。 皆が僕を避け、嫌がらせをしてきたのは。 誰が付けたのか、僕はその日から別の名前で呼ばれ始めた。 「死神に近ずくと死ぬぞー!! こんな奴いなくなっちゃえばいいんだ!!」 そう、僕は“死神”と呼ばれ続けてきた。 初めはつらかった。 僕は何もしていないはずなのに……。 慣れとは怖いものだ。 日にちが経過すればすっかりその愛称に慣れ、してもいない罪をかぶってしまう。 僕はどんな嫌がらせを受けても自分を押し殺して生きてきた。 一人孤独と闘いながら……。 そして僕は高校生になった。
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