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「あれ…?」
優奈は不思議に思って時空の穴があった所を触ってみた。
しかし、やはりそこには何もなく優奈の手は空気をかすめるだけだった。
「私なんでこんな所にいるんだろ…。っていうかここはどこ?」
優奈を急に不安が押し潰した。
辺りを見回してもそこには何もなく、ただ生温い空気の中に永遠に続くような空間が広がっているだけだった。
「あ、そういえば赤いカードケース開けたらこうなったんだ…。」
「その通り。」
不意に地獄の底から聞こえてくるような声が聞こえてきた。
優奈は肩をびくっと震わせて辺りを見回す。
しかし、そこには何もない。
「だ、誰!?」
「ククク…君の後ろだ。」
「えっ?」
優奈はバッと振り返った。
そこには大きなカマを持った死神が優奈を見下すような目で見ながら立っていた。
「きゃあっ!?」
優奈は思わず身を退けた。
「ククク…ようこそ、試練の間へ。」
死神は優奈にカマを突き付けて不気味に笑いながら言った。
「試練?何の事よ?」
「ククク…君は人間が踏み入れてはいけない世界に踏み込んでしまった。よって君には適性検査を受けてもらう。逃げることは許されない。」
「て、適性って…何の適性よ。」
「ククク…魔法を手に入れる人間に相応しいかどうかだ。」
「魔法?」
優奈はそう言うと鼻で笑って見せた。
「魔法なんてあるわけないじゃない。そんなくだらないこといってないで早くここから…。」
「ククク…君は信じていないようだな。ではこれで理解してもらえるかな?」
死神はカマを宙に浮かせると両腕を横に大きく広げた。
「ビャクレイ。」
ピキキキキキ!!
死神がそう言うと、二人の周りを氷の壁が一瞬で覆いつくした。
優奈はあまりの壮絶さに言葉を失っていた。
「ククク…信じてもらえたかな?」
「な、何これ…本当に魔法なの?」
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