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「ああ、そうとも。さぁ適性検査を受けてもらうぞ。このカマを振れ。」
「い…いやよ!!私は魔法なんかいらない!!」
優奈は首を大きく横に振る。
頑なに頷こうとしない。
「君は今嫌っている人がいるだろう?新田聡耶、彼のラブレター悩まされているのだろう?」
悪魔の囁きだ。
涼の時と同様、死神は人間の心理を巧みに操る。
「な、何でそれを…」
優奈は唖然とし、丸くなった目で死神を見た。
「ククク…魔法さえ手に入れれば君は彼を永久に失踪させることも出来るのだぞ?」
死神の囁きに優奈の体が自然とぴくっと反応した。
「で、でも魔法を手に入れるにしてもカマを振るだけじゃないでしょう?」
「カマを振るだけだ。だが、もしお前が魔法を持つ人間にふさわしくなければカマは君をズタズタに切り刻むだろう。しかし、逆に振り切れれば君は魔法を手にすることができる。」
「失敗したら…死ぬのね。」
優奈はごくっと息を呑んだ。
小刻みに体がブルブルと震え始める。
「ついでに教えてやろう。あのカードケースについていたのは血だ。」
「血!?」
「ここに先程、君が来る前だ、挑戦者が一人いた。彼女もまた君のように交友関係に悩んでいたようだ。“親友が一人”そう言っていた。彼女がカマを振る前に言い残した台詞を教えてやろうか?」
「…うん…。」
「“優奈…”だ。」
「ち、ちょっと待って!それって…」
優奈は耳を疑った。
血の気が一気に引いていくのが分かる。
「そうだ、朝霧美佐子だ。」
背筋が凍り、絶句した。
「う、嘘で…しょ?」
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