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「…美佐子を生き返らせることは出来ないが…こうしてやろう、ルナフィス!!」
死神がそう一声かけると、死神の前に突然ぱっとルナフィスが現れた。
「なんですか?」
ルナフィスはキョトンとしている。
「今からお前に美佐子のデータをインストールさせる。記憶は除くがな。」
「分かりました。」
ルナフィスは何の躊躇いもなくコクりと頷いた。
死神の言うことは絶対なのだろう。
彼女達妖精も決して善良な妖精ではない。
魔法は主に攻撃型であるし、死神に仕えていることからも容易に想像はつくだろう。
ルナフィスはゆっくりと美佐子の上にいくと、目をつむって停滞した。
死神はそれを見るとルナフィスの背に掌をゆっくりとかざす。
美佐子とルナフィスの体が白く光り始めた。
光が強くなるにつれて美佐子の体は徐々に姿を消していく。
やがて美佐子の体が消えてしまったとき、同時に光りも消えて死神の手もルナフィスから離れた。
「ルナフィス…終わったぞ。」
ルナフィスはゆっくり目を開ける。
見た目には何の変化も見られない。
優奈も固唾を呑んでルナフィスを見る。
「今日からおまえはそこにいる虹河優奈につくのだ。」
「わかりましたぁ。」
「ーっ!?」
優奈は驚きのあまり絶句し、両手で口元をおさえた。
それもそのはず、ルナフィスの口調と声色が美佐子そのものなのだ。
「優奈よ…今見ていた通り、ルナフィスに朝霧美佐子の声と性格を移植した。…ただ、記憶はあえてしていない。」
「どうして?記憶を移植させれば完璧に美佐子じゃないの。」
「ルナフィスにも本来の記憶がある。妖精の記憶を奪うことは許されている行為ではない。それにルナフィスはお前が生きる上でいろいろ助けてくれるであろう魔法を持っている。」
「魔法…。」
優奈はぼそっと呟くようにいった。
優奈自身も、既に魔法を使える体になっている。
だが少しも実感がわいていないのだ。
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