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翌朝、優奈はルナフィスを連れて朝早い時間に学校に登校していた。
誰もいない不気味なぐらい静かな教室に入り、きしむ音をたてる木製の床の上を歩きながらある一つの机に向かう。
「優奈…本当に後悔しない?」
ルナフィスは心配そうな表情を浮かべて言った。
「うん、心配しなくても大丈夫。これで何もかもが終わって新しい人生が歩み出せるんだもの。」
優奈はそう言ってにこっと微笑むと、その机の中に手紙を一通そっと入れた。
そこに書かれているのは三十ニ通分に対する答えだった。
ガラガラ
突然教室の扉が開いた。
優奈が振り向くと、そこにいたのはあの新田だった。
「虹河さん、今日は早い登校ですね。」
新田は異性を悩殺するような微笑みを見せると、綺麗な長い髪をなびかせながら優奈の前を通り過ぎて自分の机の上に鞄を置いた。
ー新田君っていつもこんな早い時間に登校してるんだ…。
優奈は戸惑った。
思わず時計に目をやる。
ー今しか…ない…
「あ、あのね、新田君。」
「どうしたんですか?」
新田は振り向き様に得意の笑顔を見せる。
「つ、机の中に手紙入れておいたんだ。どうせなら…今見てくれるかな?」
「手紙?」
新田は眉をしかめると、机の中から手探りて手紙を探し当て、引き出しから取り出した。
「それ…三十ニ通分の答えなの。」
「え?」
新田は冷静を装いって手紙を開けた。
ー見え見えだよ、その気持…。
開けた中身を見て新田は首を傾げた。
「…?虹河さん…このカードは一体…」
中にはカードが一枚入っていただけであった。
答えに似つくものは一切見当たらない。
そのカードに描かれていたのは、カマルだった。
「それが答えだよ。」
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