第二話「過去と死神」

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優奈はにこっと微笑んで返答する。 「虹河さん、僕は遊びのつもりじゃないんです。ちゃんとした答えを聞かせてください。」 「ちゃんとした答えが聞きたいの??…分かった。」 優奈は不気味に微笑み、目はカマルのカードをとらえていた。 「カマル。」 優奈がそういった途端、新田が持っていたカードの絵柄が急に飛び出し、その姿を彼の前に現した。 「な、何だこいつは!?」 ゆうに二メートルは越えているであろう巨体を丸くなった目で見ながら一歩退く。 「カマル、それ餌だからね。」 カマルが物凄く低い声でうなると、新田のさらさらの髪を鋭く尖った爪を備えた手でつかみ取った。 「痛っ…!?な、何をするんだ!!放せ!!」 カマルは新田が痛がる顔を嬉しそうに見ていたかと思うと、次の瞬間、新田を口に放り込んだ。 教室に食べている時の生々しい音が響く。 ルナフィスは思わず目を手で覆っていたが、優奈は何も臆する事なく、それの一部始終を見ていた。 美佐子を殺した人間の最後を見届けてやる… たぶんそういう感情からだろう。 正直なところ、これでもまだ優奈にしてみれば生温かった。 親友を失った思いはそれほどまでに強かったのだ。 「そうか…お前も一人殺したのか。」 涼は町並みに目を移して言った。 「うん…。じゃないと私耐えられなかったもん。」 「ってことは後悔はしていないみたいだな。」 「してないよ。それに私、新しい学校生活を迎える為にこの学校に転校してきたんだから。」 「そうか…って、ん?どういう事だよそれ。」 涼はしっくりこず、首を捻って振り向き様に尋ねた。 「実は私も他の人に見られちゃったんだ…。新田君を殺すところをね。あのあとクラスの委員長がきてさ、絶叫してたよ。あの時の驚いた顔、忘れられないな。」
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