第三話「いじめと禁忌」

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「んっ…はぁ~…何するってんだよこんな朝っぱらから。」 六時五十九分… 涼は教室の自分の席に着席し、背中をのばしながら独り愚痴をこぼしていた。 それもそのはず、あと一分後には約束の時刻、七時になるというのに優奈が一向に姿を見せないのだ。 朝の静まり返っている教室に、秒針の時を刻む音が小さく響いている。 カチッ 秒針はついに一周し、時刻は七時を示した。 ーひっかけかよ… 涼はふぅっと大きくため息をついた。 実は涼は待たされるということが何よりも嫌いなのだ。 一分、いや一秒でも遅れると、遅刻とみなして帰宅してしまうほどなのだ。 ーやっぱり人なんか信じるもんじゃねぇな。 そう思って鞄に手をかけたときだった。 「ごめんごめん!!」 どこからともなく声が聞こえてきた。 だが不思議なことに姿はない。 声の主は間違いなく優奈だ。 「どこにいるんだ?」 涼が辺りを見回している時だった。 「よいしょ!!」 「うわっ!!」 突然何も無い空中から優奈とルナフィスが飛び出してきたのだ。 「どっから出てきてるんだお前は!!」 頭の情報処理が全く追い付かない。 「え?何が?」 優奈は何もなかったかのようにケロッとした表情で言った。 「いきなり飛び出してきておいて何とはないだろ!!」 「ああ、『スルーラン』の事ね。」 優奈はポンと手を叩く。 「スルーラン?」 「場所と場所を一瞬で行き来する魔法よ。ただこれ使うと魔力の消費が激しいのよね、ルナフィス?」 「全くだよ。もっと早く起きないから私が魔力使わないといけないんでしょ。」 ルナフィスはつんとした口調で言った。 「ごめん、ごめんルナフィス。杏仁豆腐あげるから。」 優奈は申し訳なさそうに頭を下げて言う。
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