262人が本棚に入れています
本棚に追加
/102ページ
昼休み
四限目終了のチャイムがなると同時に教室内が一気に沸き立った。
売店に向かって我先にと走って行く光景はもはや日常茶飯事である。
「ねぇねぇ涼、弁当食べようよ。」
和人はにこにこと笑みを浮かべながら涼の机上に置いた弁当を開ける。
「悪い、今日は行くところがあるから無理なんだ。」
涼は素っ気なくそう言うと、椅子をひいて席を立つ。
「行くとこ?どこ行くの?」
「お前に教えても何の得にもならねぇ。」
涼はそう言い残すと教室のドアを開けて体育館裏へと向かった。
ー涼にも友達が出来たのかな。
和人は小さく微笑むと、弁当を開けてごはんを一口、口に運んだ。
一方、涼はいつにも増して冷たく注がれる目線の中を歩いていた。
大方この前の北澤との揉め事のせいだろう。
こういう時、悪者は不幸だ。
やがて目的地である体育館裏に到着し、辺りを見回した。
すると、体育館の陰で七色に光る羽が浮遊しているのがかすかに見えた。
「こんなところにいたのか。」
「あ、相馬さん。こんにちわ~。」
ルナフィスはペコリと頭を下げた。
「ーーーーっ!?」
のほほんとしたルナフィスとは対照的に、優奈は顔をそむけて、いそいそと膝の上に置いてあったものを片付けて涼からはおそらく見えないであろう場所にそれを置いた。
「…何やってんだお前。」
涼はじーっと優奈を見続けてみる。
どうやら何かを食べているようだ。
「こっち向けよ。」
涼はそう言うと、優奈はブンブンと首を大きく横に振る。
「こっち向けっての。」
涼は優奈の肩をつかんで強引に顔をこちらに向けた。
「お、お前何犬の糞なんか食べてんだよ!?」
涼は絶叫すると、思わず二、三歩退いた。
優奈は即座に口にくわえいた物を飲み込むと、
「失礼ね!!エビフライよ!!」
最初のコメントを投稿しよう!