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「うわっ!!こいつ飲み込みやがった!?」
「だからエビフライだって言ってるでしょ!?ソースかけすぎただけじゃないの!!」
「嘘つけ!!証拠見せてみろ!!」
「ここにあるじゃない!!この中にいっぱいーーーーっ!?」
優奈は誤って先程隠した物を涼の眼下にさらしてしまった。
弁当箱のようだ。
優奈はすかさずその手をひっこめた。
「何だ今の。弁当箱か?」
涼は半眼で見据えながら、優奈が背に隠した弁当箱を見ようとするが、優奈も頑なに拒んでいる。
「何で隠すんだよ。」
「見られたくないもん。」
優奈の頬がぼんやりと紅潮し始める。
「ふぅ~ん……なら無理矢理みせてもらう…ぞ!!」
「あっ!!」
涼は奪い取った弁当箱を直ぐさま開ける。
優奈は観念したように顔を両手で恥ずかしそうに覆う。
「な、何だこれ…。」
驚きのあまり愕然とする。
「ぜ、全体的に中身が黒いな…何だよこれ。」
弁当の中身を指差しながら恐る恐る尋ねた。
「な、何って…私が作った弁当よ……。寝ぼけてソースかけすぎたのよ。捨てるのが勿体ないから仕方なく食べてるの…。」
ものすごく恥ずかしそうだ。
いつになく語気がしおらしい。
「ま、まぁソースの味を除けば普通のエビフライなんだろ?一つもらうぞ。」
涼はエビフライの尾らしき部分を指先でつまみ上げる。
「や、やだ!!食べないでよ!!」
優奈は慌てふためき、涼の手からエビフライを取ろうとするが、そこは涼の方が一枚上手、一気に口の中にほうり込んでしまった。
遠慮なく食べる様はカマルが新田を食べていたときをどこと無く彷彿させる。
「あっ!!」
「ソースのなかにぶち込んだって感じだな…。まぁでも基本は悪くないと。」
「ホントに!?」
優奈は曇っていた目を輝かせた。
だが…
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