262人が本棚に入れています
本棚に追加
/102ページ
「でも相馬さん、優奈の弁当いつもこんな調子だよ~?だから前の学校でもいつも一人で体育館裏で食べてたもん。」
ルナフィスは相変わらずマイペースにのほほんと言った。
この瞬間、優奈の中で何かが音を立ててぷつっと切れた。
「それに比べて私が作った弁当はこれだよ?力の差がよくわかるんだ~。」
そう言うとルナフィスは小さな自分専用の弁当箱を開けて中身を誇示した。
「……………」
「どうしたの?いいできでしょ?」
ルナフィスは不思議に思って首を傾げた。
しかし、よく見れば涼の目は弁当をとらえていない。
しかもその目には何かとんでもなく恐ろしいものをとらえているようで、表情は恐怖に歪んでいる。
「…どうしたの?」
異変に気付き、眉をひそめる。
「う、後ろ…」
「後ろ?後ろがどうかした………の?」
ルナフィスの背筋が一瞬にして凍りついた。
「確かにあなたの方が美味しそうね、ルナフィス。」
そこにいたのは憎悪の限界を越えた笑みを浮かべ、無数の霊を従えている優奈だった。
もちろん、その中にはカマルもいる。
「ご…ごめんなしゃい…。」
ルナフィスは涙声で謝るが、優奈の耳に届くはずもない。
「サァ皆、遊ンデアゲテ?」
「*※∞§☆♂ーー!!」
「いやぁぁぁぁぁーー!!!」
昨日と同じような光景を再び目の前にしている涼は“これはいつものことなんだ”と少し納得する。
「で、本題に戻るんだけど、まず古くなった道具とかを修理していこうと思うの。」
「そんな事に魔法使うのか?別にいいじゃねぇか、そんな面倒臭い事。」
あまりのスケールの小ささに涼は呆れたように言った。
「小さな事からこつこつとって言うじゃない。じゃあ早速体育館の中の物修理するわよ。昨日あんまり寝てないから魔力少ししかないけどルナフィスはあんな状況だから私が自分で唱えるしかないか。」
優奈はポケットからカードを一枚取り出し、小さく唱えて中へと消えた。
「…なんだかなぁ…。」
涼は愚痴をこぼすと、目の前にワープホールを作り出した。
最初のコメントを投稿しよう!