第一話「不思議な転校生」

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「だーれだ」 目の前が突然暗くなった。 感触とこの温もりで判断すれば、おそらくこれは人の手だろう。 しかし、突然の出来事にもかかわらず、涼は驚くどころか呆れた溜め息をついた。 「またお前か」 「おっはよー涼。今日も元気いいねー」 「お前は俺のどこを見てそう見えるんだ?」 「ノリだよ、ノリ」 少年は涼を小ばかにしたように、にこっと笑って言った。 「それなら俺はいつも元気だっていう事になるな」 「うん、そうだね」 「……」 皮肉を素で返されてしまった……。 涼は言葉が見つからず、うなりながら頭を抱えた。 涼に声をかけてきた少年の名前は藤峰和人(ふじみねかずと)。 何故か涼に親しく接する変わった子である。 別に彼は涼と同じように周りから嫌われている訳ではない。 というよりもむしろその逆で、女の子のようなかわいらしい顔立ちと、話題の豊富さで誰よりも愛されている存在だ。 そんな和人が何故涼と親しくするのかは全くもって分からない。
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