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「俺は見たぞ、お前と虹河が体育館から校舎に向かって走る姿をな。校舎を出ていないっていう証言と矛盾するんだけどな？」
「俺が体育館に行ったから何なんだ？」
「…ピアノどっかにやっただろ。」
的確に言い当ててきた。
涼は言葉を詰まらせた。
「どっかにやったんだろ？」
二階堂は一気に問い詰める。
その時だった。
教室の後ろのドアがゆっくり申し訳なさそうに開いた。
ーあの馬鹿…！！
優奈だった。
最悪のタイミングだ。
「丁度いいな、虹河に聞こうじゃないか。」
クラス中の視線が優奈に集まった。
プレッシャーが優奈を襲う。
「虹河、ピアノの事、知らないとは言わせないぞ。どこにやった？」
「え…それは…その…。」
優奈はバツが悪そうに俯くと、目を泳がせながら言葉に詰まる。
「どうなんだよ、虹河。」
優奈は覚悟を決めたように拳を握った。
「わ、私が…」
「俺がやったんだ。虹河は悪くない。」
再び涼に視線が注がれた。
始めからわかっていたといった感じでクラスの中の生徒は特に驚いた表情は見せない。
涼が白状するやいなやニヤッと笑みを浮かべてがっと胸倉を掴む。
「ようやく白状したな相馬ぁ…。ピアノどこにやりやがったんだよ！！」
「さぁな、今頃焼却炉にでもいってんじゃねぇか？」
ガッ！！
涼の頬に痛烈な痛みが走った。
涼の体は床に倒れ込む。
「ふざけんなよ…あのピアノは何十年も受け継がれてきたやつだぞ？そんなお前の勝手な行動が許されると思ってんのかよ！！」
二階堂は怒号にも似た声で怒りをあらわにした。
涼はこれで自分が全て罪をかぶったと思っていた。
しかし、涼の白状も虚しく、皆の嫌悪は優奈にも向けられていた…。
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