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「はぁ…はぁ…」
カンカンカン
優奈は教室までの近道である非常階段を駆け上がっていく。
「あれ…?」
教室が見えたとき、優奈は首を傾げた。
教室が開いている。
ーおかしいな…
優奈は不思議に思いながら教室を覗いてみる。
そこにはとんでもない光景が広がっていた。
「キャハハハハハ。」
「これマジで面白いんだけど~。」
「な、何やってるのよ、あなた達!!」
優奈は教室に飛び込んだ。
「ん?ふぅ~…みつかっちゃったわね。」
そこにいたのは不敵な笑みを浮かべた吉岡だった。
周りを取り巻くように髪を金に染めた不良少女が四人ほどいる。
「何してるか教えてあげよっかぁ?あんたが忘れていったカード燃やしてんのよ。」
吉岡はそういうと、手に持っているライターをカチカチと鳴らす。
そして優奈の目の前でカードを燃やして見せた。
「な、何するのよ!!」
優奈が慌てて駆け寄るも、周りの四人に取り押さえられてしまう。
「は、放してよ!!」
必死に抵抗するが、四人ともなると身動きが思うようにとれない。
「は~い、最後の一枚で~す。」
吉岡はそう言ってひらひらと優奈の目の前にカードを一枚ちらつかせた。
カマルのカードだ。
「はい、じゃあ点火しま~す。」
ライターに火が灯った。
カードに火が近づく。
「やめてーーーー!!」
優奈の声も虚しく教室に響き、カードは真っ黒な灰と化した。
「ねぇ、吉岡さん。今からカラオケ行きましょうよ。」
「いいわね、行きましょ。」
吉岡はなんの罪の意識もないまま燃やすだけ燃やして教室を出ていってしまった。
解放された優奈は放心状態で、力無く地面に座り込んだ。
目の前には乱雑に放られているカードケースと、灰と化してしまったカードがある。
優奈は暫くの間、呆然として床に座り込んでいた。
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