第三話「いじめと禁忌」

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「許さないって…お前どうするつもりだよ。」 「あの時みたいにカマルに殺してもらうのよ!!」 優奈は語気荒く吐き捨てるように言った。 「殺してもらうって…カードないのに何か方法でもあるのか?」 「あ…。」 優奈は自分が現実逃避していることに気付き、再びうなだれてその場に座り込んだ。 「ったく、しっかりしろよな。」 「…ごめん…私、トイレにいってくる。」 優奈は力無く立ち上がると、ふらふらとした体でトイレヘと向かった。 「あ、相馬さん、私優奈の事心配なんでついていきます。」 ご主人様思いの優しい妖精だ。 ルナフィスは急いで優奈のあとを追った。 涼は静かな教室の中でため息をついた。 「吉岡のやつ…やりすぎだな。ま、カードぐらいなら魔法使えば一瞬で元通りだから、よかった。」 涼はそう呟くと、右手を灰の上にかざしてカードを復元させ始めた。 やがて教室に戻ってきた優奈は驚愕する。 「な、何してるのよ!?」 優奈は急いで涼の腕を掴み上げる。 「何してるって…カード直してやってんだろ。」 涼は何が起こったのか分からず、きっぱりと断言するように言った。 「あーもう、前カード生成しちゃいけないって言ったの聞いてなかったの!?」 優奈は焦りを顔にだし、少し憤りを帯びた声で言った。 「覚えてねぇな。」 涼がそういった時だった。 突然目の前の教室の空間を徐々に別の空間が侵食し始めた。 やがて辺りは生温い空気が漂う空間へと変貌した。 「ここってまさか…。」 涼は何かを咄嗟に感じて身構える。 「私達が死神に会って魔法もらったところだね。」 優奈もそう言うと、戦闘体制をとった。 いつ二人の前に死神が現れてもおかしくない。 その時だった。 「すぐに気付くとは流石だな、涼、優奈。」 「!?」 背後からの突然の声に二人は肩をビクッと震わせてバッと振り返った。 そこには昔と変わらない死神の悠然として、見下すような目で二人を見ている姿があった。
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