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「出やがったな、死神……。」
「ククク…禁忌を犯したものにしては威勢がいいな、涼。」
「禁忌だと?」
「ククク…お前は本当は死ぬ人間なのだ、涼。禁忌を犯したものは死ぬことになっている。だがお前はまだまだ利用価値があるからな。魔力を奪わせてもらうぞ。」
「やれるもんならやってみろよ。」
涼は不利な状況ながらあえて挑発してかかる。
「ククク…お前がそういうのはわかっていた。ここで一つ、いい提案がある。その方が盛り上がるだろう?」
「何だよ?」
「今からこの俺と戦い、勝つことが出来ればお前の魔力は奪わず、優奈にもカードをやろう。」
涼はそれを聞くと、フンと鼻で笑い、キッと死神を睨んだ。
「上等だ、かかってこいよ。」
涼は右手をいつでも使えるように構えた。
「ククク…そうか…威勢だけでは勝てんぞ、涼!!」
死神の声が突然力んだかと思うと、死神は涼の前まで瞬間移動したのではないかと疑うほど一気に詰め寄り、手に握っている鎌を涼の首目掛けて振るった。
「!!」
涼は鎌の軌道を見切り、ばっとその場にしゃがんでかわすと、即座に死神の腹部あたりに詰め寄る。
涼は右手を死神の腹部にあてて、
「『プラズマ』!!」
と叫ぶように言った。
青白い閃光がほとばしり、強烈な電力が死神を襲った。
「ぐふっ!!」
死神は悶絶しながら一旦涼と距離をおく。
「ククク…数年たった今、やはり成長したようだな。」
「当たり前だろ。俺の力はこんなもんじゃねぇぞ。」
涼は精悍な目付きで死神を見ながら余裕の笑みを浮かべた。
「ククク…そうか。だがそんな力ではこの俺は倒せんぞ?」
死神の声がどこか笑ったように聞こえたかと思うと、両手を前に突き出して、
「『ハリケーン』!!」
と唱えた。
その瞬間、涼の体は爆風のような風によって後方へと吹き飛ばされた。
「ぐあっ!!」
涼は地面に仰向けに倒れ、唸り声をあげた。
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