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「あ、そうだ、涼は今日このクラスに転校してくるっていう子知ってる??」
和人はニコニコと憎たらしい笑みを浮かべながら言う。
「転校?? この時期にか?? ま、別にしてきても俺は全く興味ないけどな」
「女の子って話だよ?? めちゃくちゃに可愛かったらどうする??」
「なーにが“めちゃくちゃに可愛い”だ。転校してくる奴っていえば大抵は“陰気・陰鬱・陰性”を兼ね備えた陰キャラって決まってるんだよ。とにかく俺は転校生が嫌いなんだ」
涼はぶっきらぼうな口調で軽く和人をにらみながら言った。
「3つとも全部似たような意味だけどね」
「うるせぇ。とにかく、転校生にろくな奴はいないんだ。教訓して覚えとけ」
涼がそう言った時だった。
ぼふっ
「がっ……な、何だ!?」
どこからともなく黒板消しが涼をめがけて飛んできたのだ。
それは見事に涼の顔にヒットしたが、チョークの粉がついていなかっただけ幸いである。
その黒板消しが音を立てて床に転がった。
「どっから飛んできたんだよ、これは。」
涼は地面に落ちた黒板消しを拾って一目おいてから席を立ち上がると、キョロキョロと辺りを見回した。
「お前どっから飛んできたかみてたか??」
「全然分からなかったよ。強いて言うなら突然出てきたような感じだったよ」
和人がそう言うと、涼はその言葉に敏感に反応した。
「突然出てきた??そんな馬鹿な……」
涼は冷静を装って鼻で笑ってみせた。
しかし、その表情にはどこか焦りの色が伺える。
心当たりがあるのかもしれない。
そう、涼にとって“黒板消しが突然現れた”という可能性は否めなかったのだ。
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