第四話「絶望と希望」

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「それに…私達魔法使えなくなったんだよね?」 優奈は不安そうに言う。 「なら試してみるか。」 涼は黒板に右手をかざし、 「ブレイクダウン。」 と唱えた。 何が浮かび上がってくるかは定かではないが、なにかが浮かび上がることは確かである。 しかし… 「…!?何も起きねぇ…。」 涼は何度も何度も挑戦してみるが、結果は変わらなかった。 「くそっ!!」 涼は握りしめた拳で黒板を叩いた。 悔しさが込み上げてくる。 「やっぱり…。」 優奈も無念そうに俯いた。 「魔法が使えないことは何となく察しがついていたんだ…俺にはルナフィスの姿が見えねぇ。」 「そ、そんな…!!」 ルナフィスの頭の中が真っ白になった。 今まで生きてきた中で一番…… 辛かった。 「虹河…お前もルナフィスが見えないんだろ?このままじゃあいつ独りぼっち…」 「私…ルナフィスが見える…見えるよ!!」 優奈は歓喜の声をあげると、迷わずルナフィスを抱きしめた。 「な、何だって!?どういう事だ…これは…。」 「わからない…でも私には見えるの!!本当だよ!?」 「…ってことはお前…まだ魔法が使えるのか?」 涼は当然の疑問を投げ掛ける。 「わからない…けど私はカード魔法でしょ?だからカードがないことには…。」 「ん…?カード?……………………………………なるほどな…。」 涼は小さく笑った。 「え?」 「死神はどうやら俺達で遊んでるみたいだな。俺達が何か打開策を思い付くのを見たいらしいな。」 涼は意味ありげに微笑する。 「っということは…まだ何か方法があるってことだよね。」 「ああ…。早いとこ見つけないとな。」 涼はそう言うと、自分の席に腰をかけて考え始めた。
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