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「よし、話を進めていくぞ。」
涼は鞄を床に放り投げて太陽の光を目一杯吸収した学生服の上を脱いだ。
これを見たルナフィスはいらない知恵を働かせ始める。
「へ、部屋に二人っきり…そ、それに上着脱いじゃうってことは…。」
「何言ってんのあんたは。」
勝手な妄想を働かせるルナフィスに優奈はぺしっと頭をはたいた。
「…何一人で言ってんだよ。」
涼は白い目で優奈を見て言う。
「ここにルナフィスがいるのよ。で、ルナフィスが…」
「あーーー!!ダメダメダメーーー!!!それ以上いわないでーー!!」
ルナフィスは顔を真っ赤にして絶叫すると、優奈の口を両手で必死に塞ぐ。
「…まぁ別にいい。とにかく、一つ面白いことを思い付いたんだ。」
「何なの?」
優奈はルナフィスをチョイと軽くどける。
「魔法陣だ。」
「魔法陣?」
優奈は首を傾げる。
「聞いたことはあるはずだ。必要事項を地面に書き記して、魔法を唱える。魔法陣があれば以前よりも簡単に唱えられるはずだ。」
「でもルナフィスが見えないってことは魔力が少しも無いって事だよ?結果は見えてるよ…。」
優奈は悲しそうに言った。
「何もしないよりは僅かな可能性にかけるしかないだろ?」
涼は偽りない瞳でまっすぐに見て言った。
「協力しようよ優奈。別に損はしないんだし。ね?」
ルナフィスは説得するような口調で言う。
「うん…じゃあやってみようか。」
優奈の表情からは不安は消えていなかった。
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