第四話「絶望と希望」

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「いくぞ、『レジスター』!!」 涼は新聞紙に描かれた魔法陣に手をつき、呪文を唱えた。 しかし、望んだ結果は生まれなかった。 「くそっ…これで十二回目か…。」 涼は改めて自分の無力さを悟った。 「相馬君、今日はもう諦めようよ。明日もう一回頑張ろう、ね?」 なだめる声に涼はギロッと優奈を睨んだ。 「今できることを今しないでどうするんだよ!!」 涼は怒鳴り声をあげ、近くにあった自分の鞄を手にとって優奈に投げ付けた。 八つ当たり以外のなにものでもなかった。 「きゃあっ!?」 優奈は咄嗟にしゃがんで鞄をよけた。 鞄はそのまま後ろの本棚にあたり、本がバサバサッと床に散乱した。 「あ…。」 冷静さを取り戻した涼は自分のしたことを深く後悔した。 「わ、悪い。」 涼が散乱した本を片付けようとすると、優奈は目に涙を浮かべて涼を睨んだ。 「…って…。」 「え?」 「帰ってよ!!」 優奈は涼の鞄を手に取ると、それを押し付けながら家から無理矢理追い出した。 「お、おいちょっと待…!!」 バタンッ!! 涼の声は優奈の感情をそのまま映し出したようなドアを閉める大きな音に掻き消された。 「あーあ、やっちゃったね、優奈。」 ルナフィスは溜め息混じりに言った。 「………私は慰めようとしただけなのに……何で怒られないといけないのよ…。」 優奈はドアにもたれて俯いたまま小さくぼやいた。 「うん…まぁ、確かに…。ん~…私部屋片付けてくるね。」 ルナフィスは小さな羽をはばたかせて本を順に直していく。 「あ~あ…派手にちらかしたなぁ。…ん?」 何かカードのようなものが本の間からひらひらと落ちた。 「なんだろう…」 ルナフィスは一旦本を置くと、不思議そうにそれを拾い上げる。
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