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「そ。あなたたちが使おうとしているその“JOKER”のカードはね、本来使っちゃいけないの。」
ソラフィスは真剣な表情で語り始めた。
「使っちゃいけない?ならなんでこんなところに…。」
「それはね、“極地に立たされてもう後戻りが出来ない人”が使うカードなの。使えば魔力も何もかも戻ってくるわ。もちろん、カードもね。」
「な、何でそのことを…!?」
「今はそんな事どうでもいいの。で、単純な人は“これを使えばまた魔法が手にはいる”って考えるわけ。」
「え?そうじゃないの?」
優奈は目を白黒させる。
ソラフィスは呆れたように溜め息をつく。
「はぁ~…考えてみなよ。そんなに簡単な事なら極地に立たされなくてもいいでしょ?当然デメリットもあるの。まぁ…デメリットもその人次第でどうにでもなるけどね。」
「そ、そのデメリットって一体…。」
優奈とルナフィスはごくりと唾を飲み込んだ。
「死神と戦うこと。勝てば魔力も何もかも戻ってくるけど、負けた場合は永遠に死の世界をさ迷うことになるの。それに戦う相手は死神だけじゃないだろうしね。死神だって無駄に魔力を使いたくないわけだから、自分と戦う前に別の誰かを使って殺しに来るだろうし。」
「…なるほど。」
「ルナフィス、姉として言っておくわね。そのカードは使わないべきよ。あなたたちの腕では結果は見えているからね。あと……今度会う時は敵同士でない事を祈りましょう。」
ソラフィスは意味深な言葉を残して突然姿を消してしまった。
「いっちゃったね、お姉さん。」
「う、うん…。」
ルナフィスはどこか浮かない表情で返事をした。
…少しおかしい。
「どうしたの、ルナフィス?」
優奈はひょいっとルナフィスの顔を覗き込んだ。
表情は強張り、どこか身震いしているようにも見受けられる。
「え?な、なんでもないよ。ただ最後の敵同士っていう言葉が…。」
「敵同士がどうかしたの?」
「うん…実はソラ姉は…一言で言っちゃえば物凄く強いの。妖精の中でも頭一つ抜きでていたし…。」
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