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「へぇ~…それにしても妖精の中で強さを決める催しがあったってことにびっくりしてる。」
「あ~ね。三年に一回、オリンピックみたいだけど妖精の中でトップを決める催し事があるの。その中で一番になったら死神の元に仕えて一生遊んでいられるみたい。」
「ねぇ、その話聞かせてよ。」
優奈は興味をそそられたのか聴き入りやすい態勢をとった。
「うん、いいよ。あれは…去年だったかな…。」
「『サンダーヴォルティス』。」
「きゃあああああーっ!?」
コロッセウムのような闘技場の中で一つ悲鳴があがった。
ソラフィスの手から繰り出された強烈な電流が対戦相手の妖精を襲ったのだ。
その妖精は虹色の羽をもがれて、そのまま体は地面にたたき付けられた。
その瞬間、会場が一気に盛り上がった。
「すごーい!!連勝止まらないよ!!」
「しかも息一つきらしてないし。ルナフィス、あれ本当にあんたのお姉さんなの?」
「うん、お姉さんだよ。」
ルナフィスはにんまりとした笑みを浮かべて誇らしげに言った。
ルナフィスにとって姉は憧れの存在だった。
ソラフィスが褒められれば、まるで自分の事のように嬉しかった。
「あ、次ルナフィスの番だよ。」
隣にいた妖精が対戦表をみて気付いたようだ。
「え、嘘!?次私の番!?」
ルナフィスの声が思わず裏返った。
実はこの時、ルナフィスは超がつくほど弱かった。
「どうしよう…またみんなの前で恥かくんだ…。」
ルナフィスは頭を抱えて唸り声をあげた。
「まぁどのみちフィールドには立たないと。」
「う…うん…わかった…。とりあえずいってくるね。」
友人の言葉に後押しされて自信のない細い声で呟くと、ルナフィスは羽をフィールドに羽ばたかせた。
その時、
「頑張りなよ。」
偶然すれ違ったソラフィスがそっと応援の言葉を送ったのだ。
ルナフィスの表情が一瞬にして快晴のように明るくなった。
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