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「あんなに気合い入っちゃって…大丈夫かなぁ…。」
先程の友人が少し心配そうに言う。
その時、開始のアナウンスが流れた。
「それではルナフィス、アルナ、始めてください。」
アナウンスが終わるとルナフィスの愛らしい表情が一瞬にしてかわった。
アルナは見たところ、気弱そうで、指で弾けば簡単に倒せてしまうのではないかと思う程である。
アルナの名前は大会まで知る者もいなかったので、苦戦を強いられる相手ではないだろう。
ー勝てる!!
ルナフィスの中で確信がわいた。
「『つむじ風』!!」
小さな風の渦がルナフィスの両足を覆った。
これで素早さが通常の二倍以上にもなるのだ。
ルナフィスはそのスピードで一気にアルナに詰め寄り、臆しているアルナに両手を突き出すと、
「『プラズマ』!!」
と、唱えた。
呪文自体のレベルは低いものの、今のアルナにしてみればかなり強力な電力だった。
「きゃあああああーっ!!」
羽に光が無くなり、翼をもがれたアルナは成す術なく地面にたたき付けられた。
この大会において地に体の一部が触れてしまうと失格、あるいは敗北というルールになっている。
会場はどよめきを隠せず騒然とした。
友人は宝くじが当たったように飛び上がって喜んでいる。
「か、勝った…勝ったよソラ姉!!」
ルナフィスが満面の笑みを浮かべてソラフィスを見ると、それを讃えるようにソラフィスがフィールドに舞い降りてきた。
「やったよソラ姉!!ソラ姉の応援で勝てたよ!!」
「そう。よかったわね。」
ソラフィスは優しい笑みを浮かべて言った。
「よーし、次の相手もこの調子で…」
「あら、じゃあ倒してくれる?次は私だけど。」
「へ?」
開いた口が塞がらない…
ルナフィスはまさかと思い、対戦表に目をやった
そこには確かに二人の名前が刻まれていた。
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