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「…なるほど…で、この“JOKER”のカードを見つけて、そこでルナフィスの姉のソラフィスが現れて忠告したってことだな。」
涼はJOKERのカードをまじまじと見ながら言った。
「そうなの。それで問題はこのカードを使うかってことなの。」
「使うも何も…死神と戦うなんざ無謀過ぎるだろ。」
涼はきっぱりと断言するように言った。
だが、優奈はまだ諦めきれていないようだ。
「…うん…確かに無謀だよ。だけど…私たちが頼れるのはこれしかないじゃない。」
「お前が言ってんのはプラス面だけだ。負けたときはどうするつもりだ?死神に勝てないことは百も承知だろう?それに今俺は魔法が使えないんだぞ?」
涼は右手にちらっと目をやった。
相変わらず何の変化もない、ただの右手だ。
「私…このまま人生送るのは嫌…。どうせこのまま生きて死ぬなら今にかけてみたいの。何もせずに終わるのだけは絶対に嫌なの!!」
優奈の真剣さに涼は一瞬戸惑った。
身を乗り出して話しかけてくる優奈の気持ちは、その目を見れば一目でわかる。
涼はしばらく考えた後、観念したように大きく息を漏らした。
「分かった。じゃあお前に賭けてみよう。ただし、途中で逃げ出したりするなよ。」
「当たり前じゃない。それはお互い様よ。」
優奈はにこっと微笑んだ。
「よし、じゃあ頼んだぞ。」
「優奈…。」
ルナフィスは心配そうにカードを見つめる。
「大丈夫だよ、ルナフィス。私達は負けないよ。いくよ、“JOKER”!!」
カッ!!
突然JOKERのカードが白い光を放った。
「うっ…!!」
三人は思わず目を閉じた。
目をつぶっても辺りに白い空間が広がっていくのがわかる。
やがて光りがおさまり、三人はゆっくりと目を開けた。
「またここか…。」
「これだけ来ると慣れるね、もう。」
「“JOKER”をつかったようだな。」
どこからともなくあの声が聞こえてきた。
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