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「ゆ、優奈!!相馬さん!!」
「ククク…お前もあの大会以来、力がなまっているだろう?」
「そんなことより二人をどこへやったの!?」
「それぞれ別の空間へと飛ばしてやった。そこでの戦いに勝てばここに戻ってこられる。俺も無駄に力は使いたくないのでな。」
「卑怯者!!」
ルナフィスはキッと死神を睨み付けるようにみて唇を噛み締めた。
「お前も例外ではないぞ、ルナフィス?私の目の前で昔の一戦を披露してもらおうか。」
死神の言葉に操られたように、白い発光体が姿を現し、空間をゆっくり浮遊する。
ルナフィスは一瞬で悟った。
「ソラ姉…。」
「本当にこの形で会うとは思っていなかったわ。」
ソラフィスのまわりに怪しい気が立ち込め始める。
「できれば戦いたくなかったけど…あなた達が“JOKER”を使ったのなら仕方ないわね。」
「私も…戦いたくなかったよ、ソラ姉…。」
この発言はどこか感じている敗北感からか。
否、その瞳は臆している者がもつ瞳ではない。
「負けないわよ、ソラ姉。」
「本気でいくわよ。」
二人の間に火花がほとばしり始めたようだった。
「ここは…。」
別の空間に飛ばされた涼は、状況を把握できず、辺りをキョロキョロて警戒しながら見回していく。
辺りは高い壁に覆われ、石柱などが無残な姿で散乱している。
廃屋に近い感じだ。
足場は非常に悪く、歩く事もままならないかもしれない。
上を見上げてみれば空は夜だ。
だが、辺りは夏の昼下がりのように明るい。
「何なんだ…気付いたときはもう…」
涼がぼそっと言った時だった。
ボウッ!!
突然火の玉が涼を目掛けて飛んできたのだ。
「うわっ!!」
涼は地面を転がってなんとか上手く火の玉をかわした。
横を通り過ぎていった火の球は、やがて失速して地面に落下した。
そしてその火の球はこの空間を二分割するように炎の壁を作り上げた。
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