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「げほっ!!…痛ぅ…。」
涼は腹部をおさえながら痛々しい表情を浮かべてその場に倒れ込んだ。
「相馬ァ…こんなもんじゃねぇだろぉ?俺はまだまだ殺し足りねぇんだよ…。」
櫻井ははぁーっと殺意に満ち溢れたため息を一つつくと、指をバキバキとならせてみせた。
ーつ、強すぎるぜこいつ…
「早く本気出してくれよぉ~…暇だぜ相馬ァ…か。」
櫻井はがっと涼の髪を掴むとそのまま軽く持ち上げた。
「そうか、暇か…。」
涼は何故かにやっとほくそ笑んだ。
「『ガゼットネイル』!!」
「!?」
隙をついた一撃だ。
一塊の衝撃波が櫻井を塵の如く遥か遠くへと飛ばした。
櫻井の体は崩れ落ちていた石柱の断面部分に強く打ち付けられ、体が有り得ない方向に折れ曲がった。
それも何箇所もだ。
まさに一撃粉砕であった。
「はぁ…はぁ…二回死ぬ人間なんて聞いたことないぜ…。」
涼は体力の限界を悟り、その場に仰向けに倒れた。
息が全力で走った後のように非常に荒い。
涼が自己回復魔法を唱えようとしたときだった。
瓦礫がガラガラと音を立てている。
「ククク…そうさ、人間は二回死ぬ事はないんだ…。」
涼は目を疑った。
骨は粉々に砕け、服は血まみれ…
そして首は背中方向に曲がり、後頭部が背中にくっついている。
それなのにもかかわらず、櫻井はクスクスと笑いながらゆらゆらとゆっくり涼のもとに歩み寄ってくる。
「俺は負けることはないのさ…ククク…。」
涼は一先ず立ち上がって身構えるが、体が思うように言うことをきいてくれない。
そして恐怖のあまり金縛りにあったように動けずにいた。
「攻撃してこないのか~?なら俺からいくぞ?」
櫻井がそういって両手を前に突き出したとき、涼はようやく自我を取り戻した。
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