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担任はそう言うと黒板に彼女の名前を書き始めた。
「こう書いて虹河優奈(にじかわゆうな)と読みます。じゃあ虹河さん、何か一言」
教師がそう言って促すと、優奈はゆっくり口を開いた。
「えっと……改めまして……虹河優奈です。これから皆とずっと仲良くしたいと思ってます。よ、よろしくお願いします」
優奈は緊張した声で言うと、ペコリと頭を下げた。
生徒達は歓迎の言葉のかわりに暖かい拍手を送った。
「涼、涼、めちゃくちゃ可愛いじゃんあの子。どこが陰キャラな訳よ??」
和人は後ろを振り向いて小さな声で涼にいった。
「ま、所詮はあの程度さ。…………ん??」
涼がチラッと横目で彼女に目をやった時、何かがかすかに一瞬目に映った。
「涼?? ……どうしたの?? 一目惚れってやつ??」
和人は冷やかすようにそう言ったが、涼の方は今それどころではないといった感じだ。
。
「……彼女に何かあるの??」
和人も涼の怪訝そうな顔を見て優奈を目をやる。
「……なあ……俺さっき虹河の後ろに七色に光る妖精の羽みたいなものが見えたんだが……お前何か見えるか??」
「妖精の羽~?ん~どれどれ~?」
和人は目を凝らして彼女の背後に注目した。
しかし、特にこれといったものは見えない。
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