262人が本棚に入れています
本棚に追加
「『ボードルスプラッシュ』。」
櫻井の唱えた上級レベルの雷魔法が涼に牙をむく。
涼は間一髪、横へ転がって上手くかわした。
ーやべぇな…マジで体がもってくれるかどうか…魔力もそこまで残ってねぇし……
あれしかねぇな。
「『クリスタルブレイド』!!」
涼の手元に透明な剣がにぎられる。
ーとにかく魔法を唱えれないようにしねぇと…幸いあの魔法は手を使うことを必要とするからな…どうにか隙を見て魔法陣をかかねぇと。
ズバァッ!!
櫻井の両腕が宙を舞った。
赤い血が辺り一帯に飛び散る。
涼は浴びた返り血を拭いながら隙を見ては距離をおいて魔法陣を描きはじめた。
「ククク…両腕を切り落として何になる?魔法を唱えることは容易に…。」
「そうか…容易か…。お前に唱える事ができたらの話だがな。」
「何を言ってるんだ相馬ァ……。ーーーーお、お前まさか…!!」
櫻井の表情が一変した。
「気付くのが遅かったな、櫻井…。」
涼は魔法陣を描ききると小さくほくそ笑んだ。
魔法陣が怪しい光りを帯び始めた。
「相馬ァ~~~!!」
「『リブナウション』!!」
物凄い剣幕で詰め寄ってくる櫻井の前に、涼はブラックホールを作り上げた。
辺りの物質が暗い闇の中に消えていく。
無論、櫻井の姿も徐々に吸い込まれていく。
「き、貴様ぁ~~!!何故自滅魔法を…!!」
「ああ…確かに自滅魔法だ…。お前が俺にリブナウションを唱えていたらな…。残念だがリブナウションは唱え返されないかぎり指定した相手だけを異空間にとばしてしまうのさ。」
涼は傷をおった肩を抱きながらそう言うと、膝から地面に崩れた。
「あばよ、櫻井…。」
「ぐぁぁぁぁぁ~~!!俺は認めんぞ、相…!!」
櫻井は邪念を煮えたぎらせたまま異空間へと姿を消した。
「手間かけさせやがって…コンチクショウ…。」
涼が小さくほほ笑むと、その姿はこの戦場から姿をフッと消した。
最初のコメントを投稿しよう!