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「『サラマンドブラスト』!!」
新田の手から強力な炎が勢いよく放たれる。
「クリス!!」
優奈も負けじとばかりにクリスを召喚し、新田の魔法をクリスの“守護”でしのいでみせた。
「やりますね、虹河さん。」
「だてに魔法使ってないからね。あなたもまだ余裕あるようじゃない?」
「まだまだこれからですよ、虹河さん?」
新田は不気味に笑って見せると、指の骨をバキバキと鳴らせた。
「残念だけど、私もう飽きちゃったわけ。新田君との戦いにね。だからもう…終わらせるね。」
「クヒヒヒ…何を馬鹿な。そう簡単に殺せるのなら始めから僕を殺していたはずでしょう?」
「あなたまだ何も解ってないのね。『オーグレイ』!!」
優奈の声と共に、持っていた一枚のカードがカッとまばゆく光る。
そのカードの中から姿を現したのは、カマルよりも何倍も大きい姿をした勇ましい竜だった。
「り、竜…。」
「いい呪文を唱えるにはそれなりの魔法と時間が必要なの。クスクス、そんなことも知らなかったわけ?」
「くっ…!!」
優奈が余裕の表情で小さく笑うと、それに便乗するようにオーグレイも吠えたけった。
その鳴き声は空気を割りそうな程である。
「だけどまだ勝負はついたわけではないんですよ?勝った気になるのはまだ早いんじゃないですか?」
「なら試してあげる。オーグレイ、『サラマンドブラスト』Vよ。」
「グォォォォォォー!!」
オーグレイは待っていましたといわんばかりに天を仰ぐようにして吠えると、口いっぱいに空気を吸い込み、辺り一帯を炎の海にしてしまった。
「これではまだ死なないはずよね、新田君?」
優奈がそういうと、消えゆく炎の向こうで人影がうっすら揺らめいた。
「その通り。さすがに焦りはしましたがこんな事では死にませんよ?」
「そんな事わかってるわよ。でもね…こればっかりは無理だと思うな。」
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