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死神の目の前で二人の妖精の死闘は未だ行われていた。
ソラフィスは全くの無傷。
だが、それとは対照的にルナフィスの体は目を背けたくなるほどにボロボロだった。
形勢は誰が見てもルナフィスが不利、そして今も彼女は地に倒れ込んでいる状態だった。
ルナフィスが小さく痛々しい唸り声を上げた時、ようやく涼と優奈がその場に合流する。
「死神がそこにいるって事はどうやら戻ってきたようだな。」
「あ、ルナフィス!!」
優奈はルナフィスにすぐに気付き、駆け寄ると優しく拾い上げた。
涼もすぐに駆け寄っていく。
「何があったのよ!!」
優奈がそう言うとルナフィスは無言のまま空を指差した。
「遅かったわね、虹河さん。ま、あと少し遅かったらルナフィスに会えなかったでしょうけど。」
「…ソラフィス…。」
優奈はルナフィスを涼にそっと渡すと鷹が獲物を見るような鋭い目でソラフィスを睨んだ。
「どうしたの?次はあなた?」
ソラフィスは優奈を挑発するように言う。
「よくも…よくもルナフィスを…。」
「オーグレイでも出して私を倒しに来る気?」
ソラフィスは間髪入れずにズバッと言った。
優奈ははっとして出しかけた手をひっこめる。
「忘れたの?私は人の心を読むことが出来るの。あなた達に勝ち目がないことぐらいわかるでしょ?死神の手をわずらわせずとも楽にしてあげるわよ。」
「カマル!!」
鋭い光と共にカマルがソラフィスの前に姿を現す。
「優奈さん、指示を。」
「指示なんかない。とにかくソラフィスを倒して。絶対に許さない。」
「オーグレイでも倒せるかどうか微妙なところをカマルだなんて…。ギャグがお好きのようね。」
「喋る暇なんか与えないわよ!!カマル、“ネオディモリッシュ”!!」
カマルは持ち前の俊足を生かしてソラフィスに急接近する。
しかし、幾度攻撃しようともソラフィスは軽やかに身を翻して攻撃をかわしてしまう。
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