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「はぁ…はぁ…危なかった…。」
「やっぱり…。」
ルナフィスが振り返るとそこには息を切らし、額の汗を拭っているソラフィスの姿があった。
「今のは本当に危なかったわ…。成長したのね。」
「ま、ソラ姉がこうして技をかわすことぐらい予想はついてたけどね。」
「え?」
ルナフィスは何も言わず無表情のまま手から氷の光線を放った。
ソラフィスは心を読む間もなく完全に氷漬けになってしまった。
「私が両手で魔力を溜めていたのは二回打つからだったんだよ。私の勝ちだね…。」
ルナフィスは氷にそっと触れてみる。
ルナフィスが浮かべているのは勝者の笑みではなく、少し悲しそうな表情だった。
「やったね、ルナフィス!!…ルナフィス?」
「う、うう…。」
突如座り込んで大粒の涙を零し始めるルナフィス。
「ねぇ…優奈……私たちがしていたこと…正しいことだったのかなぁ…。」
「…ルナフィス…。」
「これじゃせっかく産んでくれたお母さんに申し訳ないよ…どうして………どうして姉妹で争わないといけなかったのかなぁ………きっと………きっと魔法がなかったら…一緒に好きな人の話とか…楽しく遊んでいたりできてたのに……うう…。」
「ルナフィス…。」
優奈はゆっくりルナフィスを抱きしめた。
温かい温もりはルナフィスの頭の中に母の姿を喚起させた。
「ククク…感慨に浸るのはそれぐらいにしておいたらどうだ?」
「死神。」
涼はぐっと拳を握る。
「ククク…流石にソラフィスを倒してしまったのは予想外だった。だがルナフィスにもう魔力は残っていない。事実一対二というわけだな。」
「お前が不利だって状況は変わってないぜ。」
「ククク…相変わらず強気だな。ーーーーーいくぞ!!」
死神は大きな鎌を振り上げると、瞬間移動したかのようなスピードで涼に詰め寄り、ばっと斬りかかる。
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