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「“フライ”!!」
優奈はカードを素早く抜き取り、涼の体に呪文をかける。
涼の体はまるで引力を逆さにうけているように飛び、死神の鎌を上手くかわした。
「おお、ナイスアシストだ、虹河。こっちも負けてられねぇ、いくぞ!!」
「うん!!」
「二人同時にかかってきたところで何が変わる!!」
死神は哄笑しながら氷の光線を二人に向けて放つ。
優奈はルナフィスをかかえながら、涼は片手に魔力を溜めながら横に転がってかわし、直ぐさま攻撃体制にはいる。
「“ガゼットネール”!!」
鋭い刃の様な衝撃波が死神に襲い掛かる。
しかし、それを見越していたのか死神も同じ呪文を放ち、空中で相殺に終わった。
「ちっ…流石にやりやがるな。」
「相馬君!!」
優奈は突然涼になにかを耳打ちする。
「このままじゃ死神は倒せないわ。だから…私がある精霊を召喚しようと思うの。」
「ある精霊?」
「うん。もしかしたらそれで倒せるかもしれない。だけど…それには少し時間が必要なの。なんとしても時間を稼いで。」
「時間を?わかった、やってみる。」
涼はコクりと頷くと死神に視線を移す。
「そういうことだ、死神。悪いが本気でいかせてもらうぜ。」
「何を話していたか知らんがどうやら何か策を見つけたらしいな。」
「“ミラージュ”!!」
涼が両手を顔の前にかざしてそう唱えると、涼の体がいくつにも分身し、あっという間に死神の回りを取り囲んだ。
もちろん、その中の一人は優奈の姿をしっかりと隠している。
「ククク…取り囲んでどうするつもりだ?」
「“サラマンドブラスト”」
分身全員が一斉に呪文を唱える。
「ククク…所詮はその程度だろう。“ガイザー”」
その時、死神の目に何かが映り込む。
「ん、優奈…?ま、まさか貴様…!!」
「ちっ、しくじった!!“ブロッケイド”!!」
「ぐあっ!?貴様…!!」
優奈の呪文は進行していく。
「死神、俺達の勝ちだ。」
「き、貴様らぁ~っ!!人間の分際で…!!」
死神の声が力んだとき、すうっと鎌が宙に浮く。
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