第五話「サヨウナラ…」

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鎌の刃の部分には今までにこの鎌によって殺された恨めしそうな魂が幾重にも重なり、うごめいている。 「全員切り刻め!!」 鎌は言葉が理解できるらしく、涼の分身をひとつずつ順番に斬っていく。 「虹河、早く!!」 「分かってる、あと少しなの!!」 「相馬さん、危ない!!」 ルナフィスが悲鳴に似た叫びを上げたときだった。 ドン… 鎌が以前の時の様に涼の胸を貫いた。 涼は口から大量の血を吐く。 「く…くそ…!!」 涼は沈痛な表情を浮かべて地面に膝をつく 「相馬さん!!」 「来るな、ルナフィス!!お前は最後の魔力で自分達の身を守れ!!」 「相馬君!!」 「止めるな、虹河!!粘るんだ!!呪縛はもう少し続くはずだ!!だから…」 涼は何かを言いかけて力無くその場に倒れ込んだ。 「相馬さん!!」 「…わ、悪いな…多分もう無理だ…指もうごかねぇ…。」 涼はハハハと作り笑いをうかべると弱々しい声で言った。 「涼を気にかけている暇はあるのか?」 「え?」 キィィィィィィィン!! ルナフィスは死神の一声で襲い掛かってきた鎌を間一髪バリアを張って防いだ。 「くっ…!!」 「優奈…諦めるな…お前な…ら…きっと…。」 涼はそう言い残して静かに目を閉じた。 涼の体がすうっと空気中に溶けるように消えていってしまった。 「相馬さーーん!!」 「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーー!!!」 二人が涙ながらに慟哭したとき、体内に残る魔力が暴走した。 その魔力は真っ白な霧を生み、辺り一帯にハリケーンのような衝撃波を走らせた。
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