262人が本棚に入れています
本棚に追加
「ぐぁっ!?こ、これは…!!」
ブロッケイドから解放された死神の体はこの衝撃波に耐えられず、鎌もろとも後方に吹き飛ばされた。
「な、何が起こったというんだ…!!」
死神が鎌を手にして身構えた時、徐々に霧が晴れ始めた。
そこにいたのはゆうに三メートルを越えているであろう悪魔のような巨人が立っていた。
鬼のような形相、鋭く長く尖った爪、鋼鉄のような肉体、そして背中には一度羽ばたかせばハリケーンの様な風が起こる黒い羽が生えている。
「もう…誰が死ぬところも見たくなかったのに…。私の…私の親友を二人も……殺してやる……。」
優奈の足元に涙がぽとりぽとりと零れ落ちた。
「優奈、私はどうすればいい?」
悪魔の巨人はふぅっと息を吐いて言った。
「死神を殺してほしいの。跡形もないぐらいめちゃくちゃに!!」
「死神?…ほう…申し分ない相手だな。」
巨人はのしのしと地を揺らすような足音を立てながらゆっくりと死神に近づく。
「暴君(タイラント)…!?」
「久しぶりだな死神…。お前なら俺を楽しませてくれるだろう?」
「ほざけ!!“メガフレイム”!!」
「“エイジェントリフレクション”」
タイラントはいとも簡単に攻撃を防いでしまうと、やがて死神の頭をがっと掴み上げる。
「馬鹿め!!鎌の事を忘れたか!!」
「フン…やってみればいい。」
鼻で笑ったタイラントに鎌は大きく振りかぶって斬りかかる。
しかし…
パラパラパラ…
「なっ…!!」
鎌はタイラントの一握りでこなごなに砕け散った。
「虹河、こいつに何か聞くことはあるか?」
「ええ…。答えて、死神…どうして私たちに魔法を授けたの?」
最初のコメントを投稿しよう!