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「知りたいのか?そんな事が…ククク…いいだろう、教えてやる。我々は死んだ人間の魂を食する。それも若い人間のな。だが最近ではなかなか死者がこの世界を訪れないのだ。そこで、考えたわけだ。誰かに憎しみを抱くものに魔法を与え、死者をこの世界に送ってもらおうと。どうやら最近の人間は己の理性を抑えることができず、いとも簡単に人を殺してしまうようだからな。その理性を逆手にとったというわけさ。…ククク。」
「でもそれじゃ魔法を得た人間はあとの人生楽に生きていけるじゃない。死神が人間を幸せにするっていうのは考えにくいんだけど?」
「ククク…そうさ、死神は人間の幸せが何よりも嫌いだ。だから次はそいつを食すのさ。」
「食すって…その人はほとんどの確率で死なないじゃない?」
「まだ気付いていないのか?死神は現実世界の人間の心理をコントロールすることが出来る。ただ、魔法を持った人間はコントロールする際に気付いてしまう。そこでだ、周りの人間をコントロールし、わざと禁忌を犯すようにしむけるのさ。」
「ーーーーっ!?じ、じゃあまさかあの時体育館に二階堂君をよんだのも、吉岡さんにカードを燃やさせたのも全部…!!」
「そうだ、この俺だ!!ハーハッハッハッ!!ーーーーぐぁっ!?」
「話が終わったようだな。これで貴様に用はない、消えろ。」
タイラントは哄笑している死神の顔を一握りで潰してしまった。
地に黒いマントが音を立てずに落ちた。
「…気をしっかり持て。悔やんでも過去は戻らない。」
タイラントはそういって優奈の肩に手を置くと、カードの中に姿を消した。
辺りの風景はいつの間にか優奈の部屋に戻っていた。
元の世界に帰って来た二人だが、その面持ちは決して喜ばしいとはいいがたいものだった。
優奈はその場に立ち尽くし、ルナフィスは座り込んでふさぎ込んでいる。
「相馬君…本当に死んじゃったのかな…。」
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