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流れる沈黙。
破ったのは向こうの方だった。
「まあ、今の君には何を言っても無駄かな」
突然体の拘束がとける。主の手招きに従い這いよるハブネーク。それを、銀髪の少女の漆黒のモンスターボールが吸い込む。
「君の奮闘に免じて殺すのは避けてあげるよ。
ただ・・・・君がその甘さを保つ限り、君は私たちを止められない」
「あら、人類保管計画でも発動する気かしら?」
もっと強く罵倒してやるつもりだった。
少なくとも、彼女が目元の水滴を拭うような動作を見せなければ、これが精一杯何てことにはならなかった。
「映画の見すぎだよ
ただ、厨臭いことを言わせてもらうとね」
ボールからカイリューを出しながらこちらを向いた少女の瞳。
狂気を取り戻した銀の瞳。
「近いうちに影による大規模な侵攻が開始される。
行き着くところは闇による世界の変革」
月夜を背に、竜の背にまたがるその姿。
一瞬何かをいいかけて、諦めたようにフライゴンにまたがるもう一つの影と並ぶそれは、どこか禍々しく、どこか荘厳で。
「君たちの戦いぶり、せいぜい楽しみにさせてもらうよ」
その言葉を最後に、二つの影は空へと飛翔した。
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