第五章:「化える者」の決意

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「・・・・良かったのか?」 夜空にうごめく二つの翼。そのうちの片方から発せられた言葉。 至極短い言葉ではあったが、少女にはそれで十分すぎるほどに伝わった。 「まあねえ。ま、頑張ったけど抵抗が激しくて倒せませんでしたとでも言っとくか~」 「ごまかせると思うか?」 「ごまかせないだろうけど洒落は解するよあの人は」 「・・・・気楽だな」 小柄な少女のあっけらんかんとした口調にも、長身の少年は表情を動かさない。 ただ、その広い肩がわずかに上下したのみ。 「それにしても、何故殺さなかった」 「さあて、話すと長くなるからねえ。 まあ強いて言うなら・・・・仲間意識と好奇心かなあ?」 月明かりで影になった少女の表情を伺い知ることはできなくて。 その声色は怒りとも喜悦とも悲しみともとれて。 「私が昔できなかったことを、私にそっくりなあの娘ができるかどうか、ちょっと見届けてみたくなったのさ」
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