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「ならそれに続く私の台詞は『諦めんな!』かしら!?」
飛びかかろうと身構えた四体に襲いかかったのは【マジカルリーフ】と【サイコキネシス】。七色の葉にアーマルドとサンドパンが、不可視の力にカブトプスとストライクが吹き飛ぶ。
「もっともそんなダサい台詞死んでも言うつもりないけど」
隣に並びながら吐き捨てるエミリー。
「さっき言っただろうが」
「揚げ足取るのはこの土地の流行りかしら?」
「戦闘に遅刻してこいは国際警察の規則か?」
「……案内役が別地方勤務になっちゃったの!」
「あ~、例の恋人さんね」
「断じて違う!」
「なら顔を赤くするな」
「赤くなってない!」
話の内容は大学のキャンパス辺りで若者が交わしそうなそれだが、飛び交っているのは言葉だけではない。
【原始の力】、【切り裂く】、【岩石封じ】、【連続斬り】その他諸々。多種多様な技の数々を、かわし、受け流し、受け止める。
クロスレンジ
「接近戦が専門かね。技の傾向に突貫切断系がやたら多いわけだが」
「得意だろうけど専門ってほど片寄ってもないわよ?特にカブトプスなんか随分と沢山の技をお持ちのようだし」
《だけじゃありませんわ、主人》
と、これはヒカルには聞こえない声。
「どういうことかしら?さっちゃん」
インカムを押さえ呼び掛けるエミリー。さっちゃんと呼ばれ、【リフレクター】で【ハイドロポンプ】を弾きながらサーナイトが視線を向けた。
《彼らの動き、これまで私たちが戦ったどのポケモンのデータにもありません》
「どういうこと?」
目を見開くエミリー。
《動きが……バトルというよりも………》
どこかおどおどした口調。今度はリーフィアが主を顧みる。
《バトルというよりも、まるで芸か何かをしてるような》
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