第九章:東西奮戦記

26/55
前へ
/559ページ
次へ
「ならそれに続く私の台詞は『諦めんな!』かしら!?」 飛びかかろうと身構えた四体に襲いかかったのは【マジカルリーフ】と【サイコキネシス】。七色の葉にアーマルドとサンドパンが、不可視の力にカブトプスとストライクが吹き飛ぶ。 「もっともそんなダサい台詞死んでも言うつもりないけど」 隣に並びながら吐き捨てるエミリー。 「さっき言っただろうが」 「揚げ足取るのはこの土地の流行りかしら?」 「戦闘に遅刻してこいは国際警察の規則か?」 「……案内役が別地方勤務になっちゃったの!」 「あ~、例の恋人さんね」 「断じて違う!」 「なら顔を赤くするな」 「赤くなってない!」 話の内容は大学のキャンパス辺りで若者が交わしそうなそれだが、飛び交っているのは言葉だけではない。 【原始の力】、【切り裂く】、【岩石封じ】、【連続斬り】その他諸々。多種多様な技の数々を、かわし、受け流し、受け止める。  クロスレンジ 「接近戦が専門かね。技の傾向に突貫切断系がやたら多いわけだが」 「得意だろうけど専門ってほど片寄ってもないわよ?特にカブトプスなんか随分と沢山の技をお持ちのようだし」 《だけじゃありませんわ、主人》 と、これはヒカルには聞こえない声。 「どういうことかしら?さっちゃん」 インカムを押さえ呼び掛けるエミリー。さっちゃんと呼ばれ、【リフレクター】で【ハイドロポンプ】を弾きながらサーナイトが視線を向けた。 《彼らの動き、これまで私たちが戦ったどのポケモンのデータにもありません》 「どういうこと?」 目を見開くエミリー。 《動きが……バトルというよりも………》 どこかおどおどした口調。今度はリーフィアが主を顧みる。 《バトルというよりも、まるで芸か何かをしてるような》
/559ページ

最初のコメントを投稿しよう!

234人が本棚に入れています
本棚に追加