第九章:東西奮戦記

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脇腹にめり込んだ手刀。その小柄な体型からは想像もつかない威力を誇ったそれは、アンズをそのまま後方へと弾き飛ばす。 主がいなくなり、困惑したように動きを止める二匹。この時点で勝負は決まった。 「【リーフブレード】!【辻斬り】!」 ドシャリと音を立てて地面に叩き伏せられる二匹。代わりに立つのはエルレイドとジュカイン。 「どうやらあの二匹が切り札みたいだね」 なおも続く四匹の猛攻の中で目を凝らしながらのヒカルの判断。 「動きがコンパクトで無駄がない。他の奴等が大道芸の技の動きを応用してるのに対して、あの二匹だけは純粋なバトル畑の出身だ。レベルも多分あの二匹が一番高い」 「だとしたら付き合いが一番長いのもあの二匹ね」 と、これはエミリーの意見。 「あの白忍者の動きも、素人の見よう見まねのレベルじゃなかったもの。専門の訓練受けた人間の戦闘法よ」 「………それってヤバくねえか?」 白装束とアンズが消えた突き当たりの左の通路に視線をやりながら、ヒカル。 「どっちがかしら」 こちらへ向けて突進するジュカインとエルレイドを見ながら、エミリー。 そして、二人同時にため息。 「「…………どっちもだね」」
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