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《流石に承服しかねますわ主人!》
真っ先に反論したのは「さっちゃん」の声。タイプ上相性の悪いストライクの猛攻撃を凌ぐ作業の最中のため、その息は荒い。
《ボスについてはともかく、何故私がこのような者の命令を聞かなければならないのですか!》
《えーと、さっちゃん?「このような者」ってもしかして俺のこと?》
「ゲンさん」がいかにも遠慮がちに話に入る。「さっちゃん」は鼻をならすような音をたてたあと、平然と答えた。
《それ以外に誰がいるというのですか。あとニックネームで呼ばないでください腐れ外道》
《存在全否定!?というかむしろ俺そこまで言われるほどの何かをした覚えがまったくないんだけど!》
《存在したではありませんか》
《いくらなんでも酷いよさっちゃん!仲間じゃんかよ!》
《あなたを仲間だと認めるくらいなら死んだ方がマシです》
《死んだらダメだよさっちゃん!それは絶対ダメだ!》
《………ツッコむところ違いませんか?》
と、これは「リーフ」の割り込み。
《しかし主よ、サーナイトとゲンガーの個人的な相性は別にしても少々突飛に過ぎるぞ》
ボスの声は落ち着いていて、しかも唯一的を射た台詞。
《ポケモンがポケモンにバトルの指示を出すなど聞いたことがない。まあリーフィアとサーナイトなら我々で何とかできんこともないだろうが、そこの少年のポケモンまで使うとなるとな。エレキブルたちの主たる少年からの許しがなければまず彼らがうけつけまい》
「だ、そうなんだけどヒカルくん」
インカムから一瞬耳を離し、ボスの言葉を伝えながらヒカルをかえりみるエミリー。
「とりあえず、時間がないから聞くことは一つだ」
その視線を真っ向から受け止めるヒカル。
「お前のその二匹の力は、俺の二匹を預けるに足るか?」
エミリーは小さく肩をすくめ、ニヤリと笑う。
「答えるまでもない質問をありがとう」
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