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「封鎖………」
突然出てきた物騒な内容の言葉に、面食らった様子でヒカルの目がジュンペイの方に向けられる。
「何でそんな」
「その理由はな」
「二生物共存不能準指定区域」
ボソリと呟いたリカ。横では台詞をとられたギンペイがガックリと膝をついていた。
「あったねそんなの。へぇ、あのあたりそんなことになっちゃってるんだ」
「あ、あの」
何やら痛ましい表情でしきりに頷くリカの白衣の裾を引っ張るのはイエロー。
「それ、何ですか?」
「んーとね、物凄く簡単に言うと、人間とポケモンとがとてもじゃないけど一緒に住めなくなっちゃった場所のことかな」
科学技術を急速に進歩させた人間は、それまで住むどころか足を踏み入れることすらできなかった場所まで生活圏を伸ばし、ポケモンとの接触機会もそれに伴い飛躍的に増加した。一方で野生ポケモンの中にも自ら人間社会に身をおき生活する種類(ラッタやヤミカラス、シザリガーなどがそれ)が出始め、生活圏の線引きが近年難しくなりつつある。
「環境破壊により住処を奪われたポケモンの群れが別の地域に大量になだれ込んで生態系を激変させちまったりとか、餌を失った群れが街に襲撃かけたりとかもぼちぼち起こり始めててね。それで状況を重く見た協会が一策を講じた。そういう事態が起こる前に、人間とポケモンの居住場所を幾つか線引きできる分だけしちまおうってな」
立ち直ったギンペイの捕捉。リカがさらに続ける。
「区域指定基準は二つ。一つは、人間が居住状態を整えるのにどの程度その地域の環境を変えなければならないのか。二つ目は、既に人間が居住している付近の区域でポケモンが深刻な摩擦を起こさずに生息できるか」
ちなみに指定された区域は協会の管理下に置かれ、各地方の警察署から派遣された部隊がその区域を交代で警備する。
「ただ、ヤト村のあたりはそーいうのと無縁のはずなんだけどね。
数世紀前からポケモンと共存し、貴重な遺跡が極めて高い保存状態を保てるほど周囲の環境が手付かずなあの地域は」
リカの目に鋭い光が宿り、トウマに向けられる。
「お巡りさん、理由を話して貰えないかな」
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