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「な?無理だろ?」
主にトウマに視線を浴びせつつ、ギンペイがニュッと頬を弛ませる。
「こいつが犯罪紛いの行為に手を染めたのは否定せんよ。だけどそうさせたのはあんたら警察だ。情報管制なんてろくでもない権利侵害やってのけた結果だよ」
カズの目が名誉毀損はろくでもあるのかと言っていたが、勿論ギンペイには通じない。
「どうせなら少しは度量の広さでも見せてみたらどうだいお巡りさん?」
「仮に私一個人が納得しても、それは組織全体の意思にはなり得ない」
目線が游ぎつつも、その口調には今なお力が籠る。
「それに、この少年がこの先裏切らないという証しはまだ聞いてませんよ?」
クツクツクツ。まるで特殊な木製の打楽器でも叩いているような笑い声。
主は、小太りな新聞記者。
「頭は良いけど固いねぇ~、お巡りさん。発想の転換て奴がまるで出来てねえ」
ピクリとトウマの右手が動き、いつでも止めに入れるようヒカルが半歩立ち位置をずらした。
「だってよ、これで“対等”だぜ?このガ───少年の立場はよ。セキチクジムリーダーをはじめとする実力派トレーナーどもを手玉に取り、その力を認められ警備陣営に組み込まれた………報酬にイエローの助力という約束まで取り付けてな」
同時にこれで警察の面子も保てるぜ?と意地悪く瞳を輝かせる。
「高い実力を持つトレーナーを激戦の末に確保し、その能力を高く評価し、また少年の立場に同情した警察側が村を救うために兵を差し向ける…………裏事情を知るとヘドが出る話だが、少なくとも表向きの美談としては上出来だと思うぜ?
さて、どうかね諸君。異論はあるかな?」
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