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「くぁ~!生き返った!」
「大袈裟だ」
ゴールドの言う「市販臭さ」は少なくともレッドにはそこまで気になるものではなかったらしく、ペットボトルの中身はたちまち半分が消滅する。心底気持ち良さそうなレッドを、グリーンが横目で睨んだ。
「だいたい、そんなにまでなって何が“大丈夫”だ。いくらなんでも自分の力を過信しすぎだろ」
「へへっ」
横で親友が漏らす苦言にも困ったような笑いを浮かべるのみで、レッドは再びボトルを傾けて喉を潤す。返事はなく、グリーンが不愉快そうに眉を潜める。
「ねぇ、レッド?」
変わって口を開いたのはカスミ。口元は綻んでいるが、目にははっきりと友人に対する気遣いと不安が浮かんでいる。
いや、友人に対するというのは語弊か。
もし少しでも敏感な人間がカスミの目を見たなら、「友人に対する」以上の好意がレッドに向けられていることに気づけるはずだから。
「貴方が何かに必死になってるのは私たちにもわかる。それにフミヤさんも時間がないって言ってたわ。だけど、だからって無理しすぎちゃダメよ。
それに今のところ何も起こってないのよ?そんなになるまでがんばる必要は」
「起こってからじゃ遅いんだ」
静かな響きの声だった。それでも、矢継ぎ早に喋り続けるカスミを、それはあっさりと遮った。
「………どういう意味だ?」
訝るグリーンをレッドが見る。
笑みは、消えていた。
「カスミとグリーンってさ、何かを“怖い”って思ったことある?」
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